こんにちは! ECマガジン編集部の文(ふみ)です。LOVST TOKYOでは今、「バッグを捨てない未来をつくりたい」というスローガンの元、 “循環するバッグ”の実現に向けて、消費をデザインするプロジェクトに取り組んでいます。今回は発起人である代表の唐沢海斗に、プロジェクトの詳細や立ち上げたきっかけについて話を聞きました!
LOVST TOKYOが提案する新しい消費の形とは?
社長! 今日はよろしくお願いします。
普段、社長って呼ばれたことないから緊張する(笑)
では、いつも通り海斗さんで(笑)早速ですが、“循環するバッグ”とはどんな取り組みなんですか?
使わなくなったバッグを回収して新しい役割を与えることで、捨てる以外の選択肢を増やす取り組みです。バッグを売って終わりではなく、役目を終えたバッグをどう処分してもらうのか、消費までデザインするブランドを目指したいという思いから実現に向けて動き始めました。
なるほど。新しい役割というのは、原料として再利用するみたいなことですか?
考え方としてはそうですね。でも、うちのオリジナルバッグに使用しているアップルレザーは、成分が複雑で綿やポリエステルのように単一ではないため、素材としてはリサイクルが難しいんです。出来たとしても、莫大なコストがかかってしまう。だから、形を変えて「リセール」することを思いつきました。
リセールというと、再販する?
そうですね。でも、使い古したバッグをそのまま再販するのではなく、まだ十分に使える綺麗な部分のみをレザーとして再利用します。そのレザーを使って動物の首輪やキーリングなどの小物を製作して、ご希望のお客様にお届けするイメージです。今、実はサンプルがあるんですけど……。

わ、可愛い! ハンドメイドで温かみを感じるデザインですね。
実はこれ、社会就労支援施設に依頼してつくっていただいたものなんです。現場に見学に行かせてもらったんですけど、本当に皆さん手先が器用で羨ましかったです。僕、めちゃくちゃ不器用なので……(笑)
確かに(笑) あの、無知で恥ずかしんですけど、社会就労支援施設ってどんな方が働いていらっしゃるんですか?
身体障害者が働く場所というイメージお持ちの方もいると思うんですが、実は精神的な疾患を抱えた方も多くいます。最近まで、大手企業でプログラマーとして働いていたという方もいました。
なるほど。私たちのブランドでお役に立てることがあると思うと、なんだか嬉しいです。
そうですね。 環境問題に配慮した消費を提案する上で、何か社会貢献に繋がる取り組みができないかとずっと考えていたので、僕もすごく嬉しいです。ちなみに、協力していただいている施設には独自の販売チャネルがあるので、リメイクした小物がいらないというお客様がいても、回収したバッグが無駄になることはありません。
あくまで、選択肢のひとつとしてお客様に提案するんですね。素敵です。実際にこのサービスが利用できるようになるのはいつ頃からですか?
来年を予定しています。第一弾のクラウドファンディングで発売した「Apple Tote 1.0」の改良版をリリースするタイミングでサービスを開始する予定です。
ヴィーガンファッションに感じていた「矛盾」がヒントに
ところで、“循環するバッグ”のビジネスアイデアはどんなことがきっかけで思いついたんですか?
実は僕、LOVST TOKYOのブランドを始める前にヴィーガンファッションのブティック事業をやっていたんですけど、その時に感じていた“矛盾”が大きなきっかけになりました。
というと?
「アップルレザー」のような植物由来のバイオレザーが登場するまで、ヴィーガンレザーといえば「人工皮革」や「合成皮革」が一般的でした。石油由来なので、廃棄された場合は生分解されずにマイクロプラスチック*¹を増やす恐れがあります。動物性ではなくても環境に配慮された素材とは言えなかったので、そこに大きな矛盾を感じていました。
*¹プラスチックが粉砕され5mm以下になったものを指す。海や川を汚染し、生きものや人体への悪影響も研究で明らかになっている。
なるほど。その矛盾を解決する新しい選択肢として、植物由来のバイオレザーと出会ったわけですね。

そうですね。ただ、今の段階ではまだ100%生分解性の植物由来のバイオレザーは開発されていません。LOVST TOKYOのオリジナルバッグに使用しているアップルレザーも同様で、廃棄りんご由来の成分は大体3割〜6割程度(種類によって異なる)です。
残念ながら、僕たちは技術ベンチャーではないのでその課題を解決することはできません。けれども、自分たちが生み出したプロダクトのライフサイクルに対してが責任を持つ取り組みが出来るんじゃないかと思ったんです。
それで、消費までデザインするという答えに辿り着いた。
はい。日本はトレンドの移り変わりが早いせいか、どんなに気に入ったデザインの洋服やバッグでも、1〜2年愛用していると飽きてしまう人が多い印象があります。
だから、ブランドとして長く愛用して欲しいという想いはありながらも、自ら回収することで“捨てられるバッグ”を減らしていきたいと思っています。
でも、バッグを購入したブランドに回収に出すのって、ちょっと勇気がいるかもしれません(笑)もう必要ないって言ってるのと同じことですもんね……。
気持ちはわかります(笑)なのでサービス開始後は、ブランドから定期的に回収の希望がないかお伺いするメッセージをお送りする予定です。「どうですか? まだうちの製品使っていますか? よければ回収しますよ〜!」と。
お〜! ブランドから提案してくれると申請しやすくていいですね。もう少しお話を聞きたいところですが、今回はこの辺で締めたいと思います。今日お話を伺って、“循環するバッグ”の実現がますます楽しみになりました。海斗さん、ありがとうございました!
ありがとうございました!
次回は、消費をデザインするプロジェクトのもうひとつの柱である「コンポスタブルパッケージ」について海斗さんにお話を伺います。将来的に実現を目指す「コンポスト農園」とは——? お楽しみに!