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Column.「どうしていけないのエキゾチックレザー?」

「ヴィーガンファッション講座:どうしていけないのレザー?」の記事では、牛や豚からとれる一般革について学びました。本記事では、一般革とは異なるもう一つのレザー、「エキゾチックレザー」について考えます。
素材の持つ特徴や一般革との違い、課題などをヴィーガンの視点から深掘りしていきましょう。

目次

エキゾチックレザーとは?

エキゾチックレザーとは一般に、希少動物からとれる革のことを指します。具体的な種類を見てみましょう。

  • 爬虫類:ワニ、ヘビなど
  • 魚類:エイ、サメなど
  • 哺乳類:ゾウ、カバなど
  • 鳥類:ニワトリ、ダチョウなど

エキゾチックレザーは一般革同様、その独特の風合いや手触りにその特徴があります。特に爬虫類や魚類など希少な動物から取れる革は唯一無二の柄や発色を持ち、個性的な製品として長年使用されてきました。また、自然界を生きる動物の皮を原料としていることから、エキゾチックレザーは耐久性や撥水性にも優れています。
これらの特徴を活かして、カバンやブーツ、ブレスレットやキーホルダーなど様々なファッションアイテムの製造に利用されています。

エキゾチックレザーとは?

一般革(レザー)とエキゾチックレザーの違いは?

一般革と呼ばれる通常のレザー(以下、レザーと表記)とエキゾチックレザーは何が違うのでしょうか?

レザーの原料となる動物は、主に豚や牛といった家畜動物です。レザー製造の原料となる皮の多くが食肉加工の副産物であることも、前回の記事で学習しました。

一方、エキゾチックレザーは家畜動物以外の動物の皮を使って製造されます。現在ではエキゾチックレザー製造のために飼育されるワニやヘビもいますが、もともとは自然界を生きる野生動物を捕獲し、その皮を剥いでエキゾチックレザーに加工していました。そのため、家畜動物とは異なり調達できる動物の数にも限りがあるのです。このことから、エキゾチックレザーは「希少動物」の革として知られるようになりました。

エキゾチックレザーが抱える課題

2020年12月、動物の倫理的な扱いを求める団体PETA(People for the Ethical Treatment of Animals)が有名アパレルブランドに対して送った、レザー調達に関する公開書簡をご存知ですか。

これは、同ブランドが「原料調達に関して動物倫理に配慮している」といった内容の発言を行ったことに対する暴露でしたが、同書簡によれば、とあるベトナムのワニの飼育場では、ワニの生育環境が大変劣悪で、苔だらけの水を飲ませたり体長よりも小さな檻に詰め込んだりと、暴力的な搾取が行われているというのです。そして、そのような方法で調達されたエキゾチックレザーを製品原料に使用している同ブランドに批判を寄せました。
このセンセーショナルなニュースは消費者に衝撃を与えましたが、エキゾチックレザーを取り巻く問題は動物虐待だけではありません。ヴィーガンの視点から、その他の例についても考えてみましょう。

エキゾチックレザーが抱える課題

まず、エキゾチックレザー特有の課題として挙げられるのが、皮の調達方法です。一般革の場合、製造に用いる皮には乳牛や食肉加工の際に出る副産物を使用している場合も多くあります。その一方、エキゾチックレザーの原料となる動物は食用の動物ではないため、レザー製造のためだけに飼育・捕獲されていることも少なくありません。
「人間は動物を搾取すべきではない」というヴィーガンの理念に立つと、エキゾチックレザーの生産方法はその倫理に反しているのです。

さらに動物の皮は腐敗しやすいという特徴があり、革製品の原料とするためには新鮮な皮を調達する必要があります。そのため若い動物や生きたままの動物から皮を剥いで製品製造に使用するといった道徳的ではない製造方法も存在しており、それに対する強い批判意見が挙がっていることも事実です。
海外アパレルブランドの中にはそれらを問題として捉え、エキゾチックレザーの使用を中止した企業もあります。例えば、ステラ・マッカートニーやシャネル、グッチではエキゾチックレザーを使用した製品を販売していません。しかしながら、日本国内のブランドではレザーの使用中止を表明している企業は少なく、動物倫理に配慮していても使用の制限はファーのみにとどまるなど、ヴィーガンへの対応があまり進んでいないのが現状です。

動物倫理に配慮したエシカルなエキゾチックレザー

それでも、中には動物倫理と環境に配慮したエキゾチックレザー製品を製造する日本企業もあります。それが、富山県氷見市で生まれたブランド「tototo」です。

tototoでは、2020年からフィッシュレザー(魚由来のエキゾチックレザー)の製造販売を行っています。その特徴は、レザー加工のために魚を捕獲するのではなく、廃棄予定のブリの皮を使って革を製造している点です。

捨てられてしまうブリの皮をなめす技術の開発は、道徳的ではない動物の搾取を防ぎながら、廃棄物を少しでも減らし地球環境の保全にも役立つ新しいアイデアではないでしょうか。

まとめ

エキゾチックレザーは、特徴的な風合いやその耐久性によって長年愛されてきた素材でありながら、ヴィーガンの観点ではいくつかの課題を抱えていることが分かりました。
また本記事では、アップサイクルによって製造されるフィッシュレザーをご紹介しましたが、それは決して動物倫理や環境問題の根本的な解決策ではないということも理解する必要があります。
そもそも廃棄されてしまう動物を減らすことは、アップサイクルの技術を開発する以前に私たちが取り組むべき課題であり、また動物の搾取を減らすために植物性の素材へ移行するなどの工夫も求められています。
消費者として、買い物を通して課題解決をサポートできる商品選びを行っていきましょう。

【参照サイト】

PETA Puts Louis Vuitton on Blast—Using Animal Skins Is Not Humane

tototo

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この記事を書いた人

神奈川県横浜市出身。アメリカ在住経験を活かし、サステナブルな情報を日本から世界へ発信中。ソーシャルグッドなアイデアマガジン「IDEAS FOR GOOD」、サーキュラーエコノミー推進プラットフォーム「Circular Yokohama」運営メンバー。趣味はカフェ巡り。

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