未来皮革情報「廃棄りんご由来のヴィーガンレザーアップルレザー」

植物由来のヴィーガンレザー・アップルレザー
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ヴィーガンレザーである合成皮革や人工皮革の製品は、安価な点や手入れが簡単な点から、多くの人に選ばれています。そんなヴィーガンレザーの中でも、植物由来のレザーがあることをご存知でしょうか?合成皮革や人工皮革よりも石油系樹脂の割合が低いため、真のヴィーガンレザーとして注目を集めています。
そこで今回は、植物由来のレザーの一つである、リンゴからできた「アップルレザー」についてご紹介したいと思います。アップルレザーのストーリーや特徴を知っていただき、植物由来のレザーについて理解を深めていただけると嬉しいです。

目次

アップルレザーとは?

皆さんはリンゴからできたレザーと聞いてどんな素材を想像しますか?アップルレザーとは廃棄されてしまう有機リンゴの芯や皮をアップサイクルする(廃棄予定だったものから新しい価値を生み出す)ことで生まれた、環境や動物に優しい革新的な新素材です。

アップルレザーとは?①

廃棄される芯や皮を粉末状に加工したものをポリエステルで固め、その上からコットンポリエステル地をコーティングすることで、レザー調に仕上げられています。表面の樹脂層に粉末状のアップルパウダーが30〜40%含まれています。質感はまるで本物のレザーのようで、とても柔らかいです。

アップルレザーとは?②
アップルレザーのカラー見本

アップルレザーができるまで

そんな未来の新素材アップルレザーはどのようにして生まれたのでしょうか?アップルレザーの一つであるアップルスキン™️について見ていきましょう。

アップルレザーができるまで
アップルスキンの開発地 イタリア

アップルスキンのはじまり

アップルスキンは、2004年にイタリア北部で開発されました。その中の1都市であるボルツァーノはヨーロッパでも有数のりんごの産地です。多くのりんごが収穫されると同時に、年間7万トン以上ものりんごが廃棄・投棄処理され異臭の原因となっていました。この状況を踏まえ、開発者のハンネス氏は「食品加工業から大量に廃棄される産業廃棄物を有効活用したい」と考え、最初は紙製品である(アップルペーパー)を開発し、その後レザーであるアップルスキンの開発に至りました。

アップルスキンのはじまり①
乾燥させたリンゴはパウダー状になるまでさらに分解されます。
アップルスキンのはじまり②
何度も失敗を繰り返した試行錯誤の末、レザー本来の性質を損なわないための適切な分量で樹脂と配合されています。

アップルスキンはリンゴの生産量が多い地域での開発であり、また、本来廃棄物されるはずであったリンゴの芯や皮を使用していることから、原料の調達から製作までローコストで作ることを可能にしました。

アップルレザーの特徴

アップルレザーの特徴は環境に優しいだけではありません。パウダー状の粒子が有機組織を創りだすため、従来の合成皮革よりも「通気性」に優れていると言われています。また、軽量で、水に強いなど実用性にも優れているため、天然皮革の代用品として非常に魅力的な素材と言えます。また、天然のレザーは徐々に染料が抜け落ち色褪せてしまいますが、アップルレザーは独自の工程を盛り込んでいるため色味豊かに使い続けることができます。
このような特徴から、バックやシューズ、アパレル製品だけでなく、家具などに広く使用され始めています。デメリットとしては他の人工皮革や合成皮革と同じように経年劣化することが挙げられます。使用の目安は3〜5年とされています。

アップルレザーを使用した商品開発

アップルレザーは未来の新素材ですが、すでに様々な商品開発がされています。いくつかご紹介していきます。

フォルクスワーゲン シート素材への採用

フォルクスワーゲンは次世代へ向けて電気自動車シリーズを展開しており、2019年に発表されたモデルでは、シート素材としてアップルレザーが使用されています。同モデルでは、AR(拡張現実)を備えたディスプレイの導入など最新のデジタル化が多数盛り込まれています。このような未来を見据えたデジタル化と共にアップルレザーが採用されていることからも、アップルレザーが次世代の素材として注目されていることがわかりますね。

アップルレザーを使用した商品開発①
アップルレザーを使用した座席シート(https://motor-fan.jp/article/10012510より)

スニーカー Sampla

Samplaはアイルランドを拠点にするメーカーが作ったスニーカーです。そのスニーカーの生地にアップルレザーが使用されています。アップルレザーだけでなく、レース部分にはオーガニックコットン、ソール部分には自然由来のゴムを使用しており、地球に優しい素材にこだわったシューズになっています。さらに当メーカーはSamplaが購入されるたびに植樹を行うことを宣言しており、メーカー全体としてサステナブルにこだわった物作りをしていることがわかります。

アップルレザーを使用した商品開発②
Samplaのスニーカー(Sampla公式サイトより)

カバン LOVST TOKYO

私たちLOVST TOKYOでもアップルスキンを使った商品開発に着手し、2021年3月にトートバック、7月にリュックをクラウドファンディングを通してリリースし、嬉しいことに両プロジェクトとも達成をすることができました。今後、日本でも植物由来のレザーの注目の高まりとともに色々な製品が増えてくれるといいと思っています。

まとめ

アップルレザーについて少しでも知っていただけましたでしょうか?本革に代わる、ヴィーガンレザーの一つとして注目されている植物由来のレザー。アップルレザーは本来廃棄されるものを利用しているので、持続可能な素材として今後ますます広がっていきそうです。これから私たちに身近な素材になっていくことで、より環境に優しい素材の選択ができる社会になっていくといいですね。

植物由来のヴィーガンレザー・アップルレザー

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