どうして今ヴィーガンファッションが注目されるのか?ヴィーガンとは

「ヴィーガン」と聞くと、動物由来食品を摂取しない食事スタイルのことを想像する人が多いかもしれません。実は近年、洋服や生活雑貨といったファッションアイテムについても動物由来製品を避ける人々が増加傾向にあることを知っていますか? なぜ今ヴィーガンファッションが注目されているのでしょうか。その歴史とともに、ヴィーガンファッションの特徴や課題について学んでいきましょう。

目次

ヴィーガンファッションとは

ヴィーガンファッションとは、動物由来の素材を用いた衣服を身に付けないライフスタイルのことを指します。洋服はもちろん、カバンや靴、アクセサリーなど、あらゆる衣類において動物由来製品を避けます。

もともと「人間は動物の搾取を避けるべきである」というヴィーガニズムの考え方から派生したのがヴィーガンファッションの考え方です。例えばエキゾチックレザーファーといった動物由来素材の製造にあたっては、動物を劣悪な飼育環境で育てていたり、生きたままの動物から毛や毛皮を採取していたりと、その残酷な実態は以前から問題視されてきました。

その解決策の一つとして、動物由来製品を避ける動きが高まっているのです。

エシカルファッションとは

ヴィーガンファッションを語るうえで知っておきたいのが、エシカルファッションの存在です。

エシカルファッション(Ethical Fashion)とは、動物や環境、社会に対し倫理的に配慮したファッションを指します。例えば、リサイクル素材を使用した製品やフェアトレードの製品を購入、着用することで、ファッションにエシカルを取り入れることができます。

エシカルファッションが重要視されるきっかけとなったのが、ラナ・プラザの悲劇。バングラデシュに位置する8階建ての商業ビル「ラナ・プラザ」で2013年4月24日に発生した、ビルの崩落事故です。死者が1,127人出たほか、行方不明者が約500人、負傷者が約2,500人と、甚大な人的被害をもたらしました。


当時、ラナ・プラザには数多くの有名アパレルブランドの縫製工場が存在しており、犠牲者の多くがそれらの縫製工場に勤めている工員たちでした。発生前日にはビルに亀裂が入っていることが確認されていたにもかかわらず、ビルのオーナーや経営者が安全管理を怠ったことで、多くの犠牲者を出す事態となりました。

「ファッション業界史上最悪の事故」と呼ばれるこの崩落事故の発生がきっかけとなり、ラナ・プラザでの低賃金かつ劣悪な労働環境が浮き彫りとなりました。すると、ファッション業界全体に、労働者の権利侵害や環境への深刻な悪影響といった重大な課題が数多く見つかり、業界全体として産業のあり方を見直す運びとなったのです。

さらに、2015年には国連が「持続可能な開発目標(SDGs)」において、国際目標として社会・経済・環境のそれぞれにおいて持続可能な経済循環を構築するための17のゴールを示しました。このゴールの達成に向けて、ファッション業界でもエシカルを追求する動きが一層高まるようになりました。

また、ラナ・プラザの事故やSDGsの登場は、消費者の意識にも大きな変化を与え、より人や環境に配慮した製品の需要が高まっているのです。

エシカルな選択肢「ヴィーガンファッション」

SDGsの掲げる社会・経済・環境それぞれにアプローチする手段の一つとしても注目を集めているヴィーガンファッション。ヴィーガンファッションの主たる目的は、動物由来の素材を一切使用せず動物の権利を守ることとされていますが、ヴィーガン製品の好影響はそれだけではありません。

動物倫理に配慮したモノづくりに取り組むヴィーガンファッションブランドの多くは、同時に人や地球環境にも配慮している場合が多くあるからです。

動物由来素材の代替に植物由来素材を採用することで、動物由来素材の加工時に用いる水を削減したり、人体に悪影響のある化学薬品の使用を避けたりしています。それによって環境負荷が軽減されるほか、労働者の健康被害を防ぐことにもつながっています。

ほかにも、オーダー製や小ロットでの生産を行っているファッションブランドもあります。そうすることで、在庫過多や売れ残り品の廃棄処分を防ぎ、労働者の長時間労働も阻止しているのです。

ヴィーガンファッションの抱える課題

ここまで、ヴィーガンファッションの良い点について見てきましたが、そこにはいくつかの課題も残されています。

はじめに、代替素材についてです。

ヴィーガンファッションのアイテムには、レザーやファーのような動物由来素材の代替にポリエステルやナイロンといった合成繊維や化学繊維を用いているものがあります。そして、いくつかの合成繊維や化学繊維の製造には、人体や環境に有害な薬品が使用されていたり、動物由来素材と同様に大量の水が使用されていたりします。そのため、動物由来素材よりもむしろ環境への負荷が高い場合や労働者の労働環境を悪化させている場合もあります。

つまり、ヴィーガン素材は必ずしもエシカルであるとは限らないのです。

次に、「ウォッシュ」についてです。

「グリーンウォッシュ」という言葉を聞いたことがありますか? これは、環境への取り組みを誇張するような製品デザインや宣伝広告を用いることで、企業やブランドのイメージを操作することです。例えば、製品原料のうちわずか数%しかリサイクル素材を使用していないにもかかわらず「リサイクル素材を使用し環境に配慮した製品です」といったアピールを行う上辺だけの環境配慮のことをいいます。

他にも、すでに法律で使用が禁止されている化学薬品について「本製品は、◯◯の薬品を使用していません」とあえて記載することで、あたかも特別な配慮が行われているように見せかけ、消費者の誤解を招くような行為もグリーンウォッシュに当てはまります。

ヴィーガンやエシカルファッションにも、このような「ウォッシュ」製品が存在する場合があるため注意が必要です。

例えば「ヴィーガン」と謳っている製品で動物由来素材を使用していなくても、その製造段階で動物実験を行っていたり、取り扱い製品の一部にヴィーガンやエシカルなアイテムを取り入れているだけで「ヴィーガンブランド」や「エシカルブランド」の肩書きを掲げていたりする場合があります。

エシカルやヴィーガンといった言葉は、その意味が曖昧なまま使用されていることも少なくありません。どこまで配慮されていれば、エシカル・ヴィーガンと呼ぶことができるのか。その普遍的な定義や判断基準が求められています。

ヴィーガン製品を選ぶコツ

それでは、より良いヴィーガン製品はどのようにして選ぶことができるでしょうか?製品選びにあたって意識すべきポイントを3つご紹介します。

植物由来素材の製品を選ぶ

ヴィーガン素材には、先に触れた合成繊維や化学繊維だけではなく、以下のような植物由来繊維・素材もあります。

植物由来素材のなかには、本来捨てられてしまうものを新たな素材に生まれ変わらせたアップサイクル品も多く、廃棄物削減による環境負荷の低減に役立っています。

また、牛や馬などの動物を飼育する場合とりんごやサボテンを育てる場合では、必要な水やエサ・肥料の量、それによって排出される二酸化炭素の量にも大きな違いがあります。Martin C Heller氏らの研究によれば、動物由来の肉や乳製品の生産によって発生する二酸化炭素は、食品の生産全体の7割以上を占めます。

出典:CARBON FOOTPRINT FACTSHEET(ミシガン大学)

植物由来の素材でできた製品を選ぶことで、環境への配慮を高めることが可能です。

フェアトレードの製品を選ぶ

フェアトレードとは、「公正取引」という意味。特に発展途上国における労働者の権利を守るため、公正で公平な価格、労働条件で継続的な取り引きを行うことをいいます。

フェアトレードの国際認証機関であるFairtrade Internationalでは、製品がフェアトレードであることを示すラベルを定めています。このラベルがついたアイテムを選ぶことで、労働者の権利を守ることができます。

またラベルがついていなくても、フェアトレードの製品は数多く存在しています。製品の輸入元や原産国やを確認し、気になるときは販売店に問い合わせるなどの工夫も大切です。

地産地消の製品を選ぶ

フェアトレードのような輸入製品ではなく、地産地消製品を選ぶこともより良い製品選びのコツです。

地元で生産される素材を使った製品や地元で加工・生産される製品を購入することで、製品輸送の際に発生する二酸化炭素を減らすことができるほか、地元産業や伝統を守ることにもつながります。

また、生産と消費の距離を近づけることで顔の見える関係を築きやすく、生産者と消費者が信頼のもとに製品を販売・購入することができます。それによって「ウォッシュ」製品が出回ることを未然に防ぎ、互いの環境意識を高めあっていくこともできるのです。

まとめ

エシカルファッションの需要の高まりとともに盛り上がりを見せているヴィーガンファッション。本記事では、ヴィーガンファッションには、動物倫理のほかにも環境や社会への配慮といったポイントがあることをご紹介しました。

しかし記事でも触れたように、ヴィーガンファッションと一口にいっても、そこにはさまざまな素材や製品が存在しています。輸入品や国内製造品、化学由来製品や植物由来製品など、その特徴は多岐にわたります。

「ヴィーガン=エシカル」ではなく、消費者としてこだわりたい、配慮したいポイントを整理し、自分の信念にあった製品を主体的に選択していきましょう。

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LOVST編集部 LOVST編集部 編集チーム

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